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ガリンペイロの過酷な生活を面白可笑しく記事にしたオモコロとデイリーポータルZの不愉快さ

メディアのすきまZ 日刊ーサイゾーリスペクト 感想 台詞

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・ガリンペイロの生活は日本人にとって面白可笑しい見せ物でしかなかったのか?
今回オモコロとデイリーポータルZを私は批判する。
厳密に言えばオモコロのライターである宮川サトシ氏と、デイリーポータルZで活動されているヒロエトウル氏に対する批判である。
世間的には″母をなくした時、僕は遺骨を食べたいと思った。″で知られる漫画家の宮川サトシ氏も、″ヒロエトオルのテレビ解説″をプープーテレビ(デイリーポータルZのユウチューブチャンネル)に投稿しているヒロエトオル氏も、好きなライターだけに今回のガリペイロに対する記事の仕方にかなりショックを覚えた。
オモコロに関してはNHKの許可を得て記事を書いたにも関わらずあれでよかったのだろうか?

ガリンペイロとはそもそも何者か?
NHKで放送された″大アマゾン最後の秘境ガリンペイロ″に置いて、ナレーションを任された松田龍平はガリンペイロについてこう述べている。
「法の力が及ばない密りんの奥で社会から炙れた男達が穴をほる。
輝ける黄金を掘り出ししみったれた人生を変えるため。
彼らの名はガリペイロ。ブラジルでは凶暴な荒くれものと恐れられているが、彼らの姿を見たものはほとんど誰もない。」

デイリーポータルZのホリエトウル氏はガリンペイロをどう表現したか?
「ここには100人ばかりのガリンペイロがいたが多くはすねにキズを持っていた。
一部のものの顔は絶対にとるなそれが取材の条件だった。」
という説明が動画内にあるため本当にガリンペイロから恐れられている存在が単に顔だしNGだっただけかもしれないが、取材班の前に現れた最も恐れられている元殺人犯の男通称ブッシュ(腹傷男)に関しては殺人二人である。
この男が最も恐れられている以上他のガリンペイロはおそらく彼以上に人は殺してはいない。
「おい、お前ら人を殺したことがあるか?」と言いながらブッシュはひとしきり取材班をからかった後、急に真面目な顔になり身の上を語り始める。
″信じてくれなくてもいいが神に誓っていることがある。
親父を殺したヤツへの復讐だ。″
いつかブラジル中を探し回って犯人をこの手で必ず殺してやるのが夢なのだと語る通称ブッシュ(腹傷男)。
男は極めて質素な背中の刺青を取材班に見せるとナレーションの松田龍平がこう語り出す。
″男の背中には誓いの証だと言う刺青があった。
自分の体に刻み付けた父親の墓標だ。″
この刺青を見れば彼の生活は親父を殺されてから荒れたのであろうと想像できる。
以下はブッシュ(腹傷男)に対して今回批判するホリエトウル氏が動画で語った内容である。
「親父を殺した奴を殺すために金を掘っていうんですよ(ちょっとトーンを落とした後) ちょっと意味がわからんじゃないですか。
でもまあプープテレビ見てる犯人に僕から言えることはとりあえず犯人逃げてってことです」
生真面目すぎるかもしれないが、どうして彼は前科がある異国の人間とは言っても親父(もしかしたらヤクザ的な意味の親父かもしれないが)を殺された人間に対して、面白おかしく茶化せるのだろうか?
「結局50日間の密着ではデカイ金塊見つからなかったんですけど、掘る人が極悪人ばっかりやったから見ごたえ十分でした。ホンマ取材クルー殺されなくてよかったです!」と最後にヒロエトオル氏は絞めるのだがこの人物以外に取材した人物で極悪人だと思われるのは、ガリンペイロに秘密の錦光山の場所を教える変わりにガリンペイロから7割搾取する元締め、黄金の悪魔ジャブ・デ・オーロしかいない。
今回主な取材対象になったのは、ジャブ・デ・オーロ(黄金の悪魔) ・ブッシュ(腹傷男)の他に後3名おり順を追って話していきたいと思う。

 

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・視聴者に深い印象を残したラッピーニョ
マリファナ、ヘロイン、コカイン」と語る場面から取材がはじまる元ドラッグ中毒の若者、通称ラッピーニョ(ラップ小僧) 20歳。
前歴麻薬中毒・密売(懲役10ヵ月)。
これだけ見れば私達からかけ離れた人間だが彼がこういう身分に陥ったのは貧困のあまり学校にもいけず職につくこともできなかった為である。
「ガリンペイロになってでっかい黄金を手に入れるんだみんなと同じだよ。俺の人生にも可能性はあるはずだ若さも時間もあるんだから」と語る彼に他のガリンペイロが厳しい視線を送る姿は印象的である。

・オモコロの宮川サトシ氏はガリンペイロをどう表現したか?
自らをドキュメンタリー番組大好き漫画家だと称する彼は、腹キズ男に対しては″ヤバいヤバいヤバい目がヤバすぎる!″と表現(漫画では誇張して書かれているが、これぐらいの目をする人間は建築関係の肉体労働の現場には普通にいる)
ラッピーニョに関しては白目しかない怠惰の象徴のような顔に誇張されており、彼が1日で他のガリンペイロに見限られた場面をバイトの初日の学生張りに使えないヤツ″だと表現した。
ヒロエトオル氏も宮川サトシ氏もコメディとしての要素が強い媒体のライターであり笑いを取らなくてはいけないのは分かるが、ラッピーニョの仕事であるガリンペイロは簡素な小屋で生活し、食料はジャングルの密林で採取するという過酷な生活を送っている。
そのような条件下で働く決意をした彼に対して、バイトの初日の学生張りに使えないヤツ″だと表現するのは私は好ましくないと感じた。
彼は麻薬中毒で逮捕歴がある以外は(その経歴が普通ではないのだが、彼がそうなった背景には過酷な貧困がある)人懐っこい普通の若者であり取材中に写った彼は終始穏やかである。
確かにガリンペイロの仕事に疲れはてて二時間現場に遅刻するのは普通におかしいのだが、他のガリンペイロは夜明け前におきている。
ガリンペイロの仕事とはそれだけ過酷であり加えて彼の寝る場所はハンモックであり、
現代の日本人なら、ほとんどが投げ出すであろう労働環境で彼はすごしているのだ。
給料はとれる黄金の量によっても取り分が違うらしいが、取材班が取材した際のガリンペイロの取り分は1日1万円。
いくらガリンペイロが地元民から無法者と恐れられていると言っても、人の黄金をとった場合″最悪″殺される程度は暗黙の了解が法としてあり私達が考えるほどの無法地帯ではない。
しかしそんな思いをしながらの日給一万円、それより少ない日もある給料で働く道を選んだ若者が ラッピーニョである 。
そんな若者に対して、日本の若者と比較した上で "バイトの初日の学生張りに使えないヤツ″だと表現するのは日本人の奢りではないだろうか。

 

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母親に捨てられた生まれた時からガリンペイロである無口な男通称マカク(猿)36歳や、
黄金が取れない時期に後輩から馬鹿にされ銃を持ち出した場面が印象的な通称ポンタ(小男)38歳(彼は部屋に勝手に巣を作った白蟻の巣を家族だと表現する人なつっこい男で、何度もやめると語りながら結局ガリンペイロの村に戻ってくる、親もガリンペイロである彼には生まれた時からほぼガリンペイロの暮らししか残されてはいなかった。)については同情的な場面が目立ったが、他のオモコロライターの凸野氏に至っては″ガリンペイロほんとに漫画の世界だ″と述べている。

・ガリンペイロに会いたければ日本の建築現場で働けば良い
ガリンペイロを取材対象にしてカメラが写したのは無法者と言われながら一番恐れられている存在が、人を二人殺した親父の復讐を胸に生きる理解しがたいとは言いがたい存在であったという少しの肩透かし感である。
顔だしを許されなかった対象が多くいたとは言え、他の取材対象になったガリンペイロ3人に関しては逮捕歴としての殺人はない。
加えて彼らが仲間を殺すのは黄金を横取りされた時に″最悪殺す″程度であり、使えないと判断された ラッピーニョに対しても、(日本の取材班が入っていたからかもしれないが)船を出してやるから帰れと理性的な対応をしている。
そこにあるのは日本の建築現場の職人の風景とほぼ変わりはない。
行きたいかと言われれば絶対に嫌だがデイリーポータルZのホリエトウル氏が語ったような″本当に取材クルー殺されなくてよかったです″の言葉に相応しい無法地帯だったとは私には思えない。
筆者はほんの少しの間建築現場で働いたことがあるが、市橋達也被告の著書逮捕されるまでにもあるように、日本の建築に近い肉体労働では今日もどこかで日本のガリンペイロのような人達が働いている。
そんな人達の事を異国であり密林であり金塊というワードがでてきただけで、面白おかしいエンターテイメントとして語ろとしたオモコロとプープテレビ(デイリーポータルZ )が私には許せなかった。
しかしこの文章そのものがまた偏見であり好ましくないと言われるのなら、それもまたその通りである。